こんにちは!

私が三葉虫クラブのおじさんです。

(モロッコにて。右側)

  

 

 

 

 

 

 

    

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  CH-4. 近頃三葉虫掘りだし事情

 

Q: ご質問をいただきました
三葉虫は手に入りにくくなるということでしょうか。
コレクターが増えて現物が不足しているのか、それ以上に産出がへっているのか、そのうち金の価格のように高騰するのでしょうか
A: こたえ
この数年とても入手困難になっています。産出がへり、人手不足と偽物が多くなっているせいです。ある程度の品質の物は間違いなく高くなってきています。だから『これまで手に入れたものが同じように手に入るわけではなく、大切にしたほうが良いですよ。』と皆さんには言っています。

私が三葉虫にかかわるようになったのは14年ほど前ですが、今ではすっかり様変わりしました。その頃はショーに出店する外国からの業者も多く、展示された三葉虫は種類も多く、、品質、大きさも良いものでした。私のような三葉虫を数個もって参入した者にはまるで恐竜たちの中に紛れ込んだネズミの感じです。
しかし昨今はその様な業者がすっかり消えてしまって、ミネラルショーなどで周りを見回して『アレ私だけ?」なんてさびしい感じがします。

三葉虫の人気が下がりブームが去ったのでしょうか。当時、既に「市場は下がり気味」だと言われました。丁度バブル経済が崩壊して、それまで日本中で小さな町でも博物館を作り化石や鉱物標本を買いましたが、その税収が少なくなり購入資金が急速に減少してきました。博物館建設計画が途中でなくなったところもあります。恐竜達にとって棲みづらいくなったのでしょう。それがブームが去った印象を与えたのかもしれません。三葉虫の人気が下がったのではないようです。

恐竜達が去ったもう一つの理由は、やはり以前のような三葉虫が入手できなくなったからだと思います。実際大きなPsycopyge,Odonotochile Dicrannurusumontその他以前は当たり前に見えた物がほとんど見つけることができなくなっています。

何が起こったのでしょう。
約30年ほど前からモロッコでは三葉虫が掘られるようになったと聞いています。他にめぼしい収入になる物がないので砂漠の人たちにとって貴重な産業でした。掘り人たちは大体ファミリーである程度の権利と技術を継承していたようです。しかし豊富とは言え、永年掘り続けていれば次第になくなります。

 

 

 

上の写真は数10年間掘り続けたDevon紀の跡。白い帯が見えますか。それが掘り屑で延々と続いています。近場ではもはや掘りつくし遠くまで掘りに行かなければなりません。オアシスから何10kmも歩いて行きます。もちろんそこには水も食料もないから持って行くほか無いでしょう。堀場の環境は超乾燥し、夏は極暑、冬は極寒です。、時には砂嵐や大雨にも襲われます。砂漠では一番水死が多いなんて話も聞いたことがあります。ちょっと信じられませんが

 

(ダイナマイト)

石灰の岩層をワーカ−達は大きなハンマーで砕き、それを小さく割って三葉虫の確認をします。大型の機械を使えないため当然生産性は良くありません。以前はダイナマイトも使っていたようですが、数年前にカサブランカで過激派による爆弾騒ぎがありその後使用は禁止されてしまったそうです。
下の写真はそれ以前に偶然出会ったものですが、Goniatiteを掘り出すために金棒をハンマーで打ち込み、ダイナマイトの穴を穿っているところだそうです。陽気な連中でウイスキーはないかなんて言いながら作業をしていました。公道のごく近くなので、こんなところで大丈夫なのかなとしばらく見ていたら町から警官の自動車が2台来て、何か言った後連れて行ってしまいました。その後どうなったかは分かり分かりません。

 

(バス)

夏場は気温50度を越え、日陰の全くないところでの作業です。我々文明に甘やかされたひ弱な肉体ではハンマーを2,3回も振り回すと熱中症になってしまいます。せいぜい掘り屑を引っ掻き回わすだけがいいところ。そんな仕事ができる彼らの強靭さには驚くばかりです。
しかし厳しい環境下と、次第に減少する収穫物とではさすがの彼らももっと楽な仕事があればそちらに行くのが当然です。隔絶されたオアシスにもバスが来るようになり町に働きに行くことが楽にできるようになりました。写真は朝の通勤バスに乗り込む人たち、これは9年前ですので今はもっと良いバスが走っているかも知れません。
特に若い人たちはより機会がある町や都会、外国に出て行きます。永年作業を行ってきたベテランたちも年を取り、次第に引退して掘り人の人数はどんどんどん減少してきました。
 

掘り人たちの意欲を低下させるもう一つの要因は偽物の増加です。本物と見分けがつかないような偽物が安い値段で市場に出るため、せっかく本物を掘り出してもその値段は下がってしまい労力に見合わなくなってしまいました。
ドイツ人ディーラが言っていました。「もうミュンヘンのショーには出品しない、モロッコ人が偽物を出し、客がどうしてあなたの所は高いのだと聞く。本物の価値が分からない者に説明するのも面倒になった。」と。

資源が少なくなり、それを採集する人が少なくなれば、市場に出てくる量は当然少くなって、品質も低下しています。業者は昔採集したが、当時としては商品価値がないと倉庫に放り込んであった物も今は取り出し、商品にしています。以前に比べ良いものを得るのは難しくなっている印象は強くあります。
このドイツ人はこうも言っていました「もう三葉虫を売るのは止めてコレクターになる。ビジネスはミネラルにする。」
良いものを手に入れようとするには、時間がかかってもあせらずにチャンスを待つことが大切でしょう。

以上主観的な感想です